俺は先輩に夢チュー
衝動的にセンパイを抱きしめる。
女子としては大きめの身長でも、男の俺からしてみれば全然小さい。
すっぽりと腕の中にセンパイを収めて、はぁ、と息をつく。
「ちょっ………真人っ!」
俺の突然の行動に驚いた先輩が、腕の中で暴れる。
それを押さえるように、さらに強く抱きしめた。
不安に暴れた心臓は、落ち着く気配を見せない。
そんな俺の様子に気づいたのか、センパイは抵抗をやめた。
それどころか、俺の服の裾をギュッと握る。
………別の意味でヤバいんですけど。
「真人、あのさ、取り敢えず移動しよ?」
視線が……、と耳まで真っ赤にしたセンパイが言う。
はは、と笑うと、少し怒ったような眼で睨まれる。
真っ赤な顔してるから全然怖くないけど。
「分かりました。俺もセンパイのお弁当、早く食べたいですし」
腰に回した腕をほどいてそういうと、そうだね、と笑みを返してくれた。
お化け屋敷の後は観覧車に乗ろう。
そう決心しながら、センパイのお弁当を食べた。