俺は先輩に夢チュー
「最初はただ鬱陶しいとしか思ってなかった。でも、段々隣にいるのが当たり前になってきて、居ないとどこか寂しくて」
ゆっくりと、センパイは言葉を紡いでいく。
俺は何も言わず、ただただセンパイの言葉を聞いていた。
「他の女の子に笑いかけてるのを見て、優しいのはあたしだけじゃないの、とか思って。今日誘ってくれたこと、すごく嬉しかった」
俺の服の裾を握る手は、少しだけ、震えていた。
その手に自分の手を合わせる。
センパイのまつ毛が、少しだけ震えた。
「さっき絡まれてるのを助けてくれた時、嘘でも『俺のモノ』って言ってくれて嬉しかった。こんな風に二人っきりになると、心臓がうるさくなるの」
多分、俺の顔ももう真っ赤だろう。
抱きしめたい。今すぐに。
でも、センパイはまだ何か言いたそうだった。
「これって、真人のソレと同じなの?」
あぁもう本当にこの人は。
俺は、少しだけ泣きそうになった。
センパイの質問に答えようと口を開いたその時、ドアが開けられた。
………もう一周してしまったのか。
少し寂しかったが、センパイの手を取って観覧車から降りる。
日も暮れかけていて、風が少し冷たかった。
繋がれた手に、思わず力がこもる。
「もう日も暮れちゃいますし、帰りましょうか」
「………うん」