恋人ごっこ
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「……んぅ…」


あたしは、うめきながらうっすら目を開けた。
カーテンの隙間から青い空が見えて、緩い頭で朝だと認識。
やけにフカフカした感触に、昨日あのままソファーで寝たのだと気づく。


「……ん…?」


時計の秒針の音しかしないはずの部屋で、何か音が聞こえた気がして、小さく首を傾げる。


カチャカチャと音が鳴ってるようなので、なんとなくキッチンスペースの方へ首を回す。
ぼやける視界にいらつきながら目を細めると、そこには、


「あ、おはようございます」


「………………………せんざ、き」


振り返りながら朝の挨拶をする彼の名前を拙く呼んだ。

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