恋人ごっこ
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目を細めたまま彼を瞳に映す。
ここはどこ?あたしはだあれ?
ここはあたしの部屋。あたしは和葉。
よって、彼はいないはず。

脳が身体とフィットしてから、あたしは目を見開いた。


「なんで君がここにいるの!?」


あたしは起き上がり、枕にしていたであろうクッションを抱きしめたまま、驚きの悲鳴を上げた。
彼は、あたしの悲鳴に近い叫びを気にせず、淡々と、


「ご飯、ちゃんと食べてないと思って。鍵開いてたし。」


と、抜けたことを言った。
鍵は、帰ってきてからそのまま寝たっぽいから、まあ納得。
確かにちゃんとした食事はしてない。
この前駅地下で買ったものを食べてるだけだけど。
だけど、


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