恋人ごっこ
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「仙崎ー!」


走りながら視界に入ったやつの名前を呼ぶ。


「あ、和葉さん」


焦茶色の髪の彼は、少し驚いたようにあたしの名前を呼んだ。


「どうしたんですかそんな汗だくで。
あ、体育?」


「どう…したじゃ、なくて…」


マイペースにそう言う彼に、あたしは心底呆れた。
あたしは仙崎の前で止まり、息を整える。
トラック走るより全力で走ったから、死にそう。


「なんで、今、登校してるの。
寝坊?あれからまた寝たの?」


今は三時間目。しかももう授業は終わる。
なのに今登校。朝顔を合わせたのに。
なんで―…。



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