恋人ごっこ
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体を捩って抵抗していると、前方から名前を呼ばれた。
あたしをさん付けで呼ぶなんて、あいつしかいない。


「仙崎…」


「何してるんですか。じゃれあい?」


「違う!」


目の前で軽く首を傾げてみせた仙崎に怒鳴った。


「だって、はたから見たらイチャイチャしてるようにしか」


「してない。てか彼氏じゃない。」


「じゃあ何を…」


「捕まったのよ!」


マイペースに話す仙崎にいらついて、つい怒鳴ってしまう。
それよりも、早く滝本君から離れなければ。



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