恋人ごっこ
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「…」


「そんな機嫌悪くしないでくださいって。」


「うるさい。仙崎のばか。」


あたしは冷たくそれだけ言った。
彼の背中から見る世界は、少しだけ高くて広かった。
只今彼におんぶされ中。


「…君は男だったんだね。」


不意に彼の背中を見ながら、なんとなく思ったことを口にしてみた。
ら、彼の動きが止まった。


「なんですかその今まで男じゃなかったみたいな。」


少し目を細めながらこちらを振り向く彼。
ちょっと機嫌が悪そうだ。面白い。



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