恋人ごっこ
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「だってさ、仙崎細いじゃん。」


「和葉さんに細いって言われても…。」


小さく呟きながら、また歩きだす。
まぁ、あたしのは異常だからね。


「すっごいさ、薄っぺらいイメージがあるんだよね。
あとね、なんかこう…抜けてるじゃん。」


「抜けてる?」


「迷子になるとことか。」


「…」


黙ってしまった彼に、少しだけ笑ってしまった。


「要するにね、こっちが何かしてあげなきゃって思ったりするんだよ。
だから今の状況が変な感じ。」


あたしはそう言いながらクスクス笑い、彼の首に手を回した。


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