恋人ごっこ
.




「、げほっ」


由梨の唐突すぎる質問に、あたしはケーキでむせた。
咳き込み、涙目になりながらお茶を流し込む。


「な、なんなのいきなり…。
言ったじゃん、ごっこ遊びって。」


「うん、言ってたね」


彼女は、当然だというように首を縦に振った。
なら何故それを聞く?


「全然そんなんじゃないよ。
あたしたちは互いのメリットのために一緒にいるの。
題して"恋人ごっこ"」


恋人ごっこ、そこに恋愛感情などない。
あってもそれは、よくて友情。


「嘘ね」


「なんでそう思うの」


きっぱり言い切る由梨に、あたしは挑むように聞く。
そこまで言い切る根拠は何。


「だって和葉、今日髪巻いてもらってたじゃない。」


.
< 80 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop