恋人ごっこ
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「…」


はい?


「巻いてもらってたけど…それが何よ?」


意味がわからず再度尋ねると、彼女は「鈍感だなぁ」と呆れて言った。


「なんでいきなり髪巻こうと思ったの?
ただの気まぐれじゃないでしょう?
可愛くなろうと思ったからじゃないの?」


「…なんであたしが」


「和葉、他人といるの苦手なのに、髪触らせるなんて初めて見たもん。
寄ってくるのだって嫌がるくせに、触らせたことにあたしはびっくりだよ。」


ふぅとため息を吐き、由梨は紅茶の入ったカップに手を伸ばした。
その一連の動作から、なんとなく目が離せない自分がいた。
そんなあたしを見て、由梨は笑う。


「…ねぇ和葉、あんたが変わろうと思ったきっかけは、何?」


優しい声で問われたそれが、あたしの中で反芻した。


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