恋人ごっこ
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「え、ちょっと待って」


またも慌てた声が聞こえたが、あたしは振り返らない。
どうせついてくるだろう、ついてきてなかったら探しに行くだけだ。
そんな適当なことを考えていると、少しだけ髪を引っ張られた。


「、何すんのっ」


微かに感じた痛みに、あたしは足を止める。
あたしは髪を押さえて振り返り、眉間に皺を寄せて文句を言った。
すると彼は、あたしの長い髪の先を指に巻き付けながら、髪からあたしに視線を移した。


「巻いてるの、似合いますね」


彼の急な言葉に、あたしは一瞬反応するのが遅れた。


「っ、…別に、気が向いたからやってもらっただけ、だよ」


「ふぅん。いつもの和葉さんの髪型も好きだけど、俺、これも好き」


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