抱えきれないほどの愛を君に
☆One★




「神崎さん。おきてー。」


看護師さんの声が聞こえた。


『っんー。』

重い瞼をこじ開けながら
起きた私に看護師さんは、

「血圧と体温計ろうねー。」

と、いつもどおり私に言った。

私も、
『はーい。』
といつもどおり返すと

看護師さんは薄く笑みを浮かべながら私に体温計を渡してきた。


…また、今日が始まる。


―‥‥《きっと早く治るよ。だから一緒に頑張ろうね。》

そう言われて何年が経とうとしているのか。


もう桜の木にはポツポツと桜が咲き始めている。

…三度目の春が来る。




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