抱えきれないほどの愛を君に
―コンコン
ガラッ
「神崎さん、朝ご飯よー。」
看護師さんが手際よく朝ご飯の準備をしながらふと思い出したかのように、
「そういえば、この病室に明後日、患者さんが来るのよー。んーと、確か神崎さんの五つ下ぐらいの女の子だったかしら。」
そう言った看護師さんに私は特に気にも留めず、
『へぇー。』
と軽く相づちを打つと、
「仲良くしてあげてねー。…それと、食べ終わったらまた呼んでください。」
…それだけ良い残すと病室から静かに出ていった。
――‥‥音も立てず、静かに運命の歯車が動いた瞬間だった。