抱えきれないほどの愛を君に





『~っはぁ…。』


夕方にある検査まで特に何もすることがなく、何となく空を眺めていた。

ふと、1羽の蝶が目に入る。

ふわふわと、でもどこかしっかりと羽を懸命に動かしながら青い空へと羽ばたいている。

ぼーっと空を眺めていると、


ーコンコン

ドアをノックする音が聞こえる。



視線を向けると、視界には看護師さんと一緒に入って来たのは車椅子に座る女の子が入った。


小学生だろうか。その容姿はとても健康とは言えないが、可愛らしかった。




―ーあぁ、もうあれから…。



すると私の視線に気がついたのか、看護師さんは

「今日からこの病室に入院する、本郷(ホンゴウ)楓(カエデ)ちゃんよ。」

そう、私に紹介した。



楓ちゃんは、そんな看護師さんに習うように

「よろしくお願いします。」

と、小さく照れながらお辞儀をしてきた。



そんな彼女に私が
「神崎(カンザキ)早苗(サナ)です。こちらこそよろしくね?」
そう自己紹介をすると
嬉しそうに笑った。




私たちがこんなやり取りをしている間に支度が終わったのか、
看護師さんが楓ちゃんに
「横になる?」
と優しい声で聞くと、彼女は小さく頷いた。





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