主夫天使!
1話 美人、拾っちゃいました
ツイてないことって、結構重なるもので。
いつもより1時間も遅いバイト上がりのあたしを待っていたのは、なんとも騒がしい雨粒の合唱だった。
急ぎ確保したのは派手な花柄で、いかにもなオバチャン傘。
濡れて帰った方がマシかな? って思ったけど、ビショビショになった制服の後始末を考えて、あたしは頭を振った。
明日も学校あるんだよ。ここはガマンだ、志歩。
自分に言い聞かせつつ、傘を開いて真っ暗闇の中へと足を踏み出した。
あたし、小南志歩(こみなみ/しほ)。
一人暮らししながら近所の学校に通う、ごくフツーの女子高生だ。
……いや、まあ、正確にはフツーと言い難い部分もあるのだが、そこは後で語る機会もあるだろう。
今回のところは割愛ってことで。