主夫天使!
いや、その顔ひとつで、生きてくのに必要な、いろんなものが手に入れられそうだがな。
思ったけど、言わないことにした。美人がそういうことを覚えたら、周囲も本人もあんまり愉快なことになりそうもない。
「そんなの、決まってたらあんなところで眠ったりしない」
そりゃそーだ。
しかし、よくこうも悲観せず、冷静でいられるもんだな。あたしが文無し宿無しになったら、それはもう激しく取り乱すだろうに。
あ、それより家出する動機がないわ。
「じゃあさ、しばらくここに住めば? 部屋ひとつ余ってるし」
犬猫を家にかくまうのと同じくらいの軽さであたしは言う。
アキは反りの少ないまつげをパサパサさせて、瞬きを2,3回。