主夫天使!

 いや、その顔ひとつで、生きてくのに必要な、いろんなものが手に入れられそうだがな。

 思ったけど、言わないことにした。美人がそういうことを覚えたら、周囲も本人もあんまり愉快なことになりそうもない。


「そんなの、決まってたらあんなところで眠ったりしない」


 そりゃそーだ。

 しかし、よくこうも悲観せず、冷静でいられるもんだな。あたしが文無し宿無しになったら、それはもう激しく取り乱すだろうに。

 あ、それより家出する動機がないわ。


「じゃあさ、しばらくここに住めば? 部屋ひとつ余ってるし」


 犬猫を家にかくまうのと同じくらいの軽さであたしは言う。
 アキは反りの少ないまつげをパサパサさせて、瞬きを2,3回。

< 14 / 17 >

この作品をシェア

pagetop