主夫天使!

 あ、明日は資源ごみの回収だっけ。そんなことはどーでもいい。

 さすがにこの雨の中ですやすや眠れるだけあって、神経が図太いのかおそろしく無頓着なのか、あたしの怒鳴り声でも起きてくる気配がない。


 ……どうしたものか。このまま放置して行くのも、なんだか気が引ける。

 なにしろ、この物体Xもどき、とんでもなく美人ちゃんなのだ。
 無防備に眠る姿は『ご自由にお取り下さい』ってなモンで、ひょいと抱えて連れ去られそうでコワイ。

 死体をスルーするのと違う意味で、心穏やかではいられなさそうだ。


 ったく。こーいう時、防犯上よろしくない1階暮らしで良かったって思うよ。


 制服を守ることは諦めて、ずぶ濡れコートにくるまったずぶ濡れ美人を半分おんぶ、半分引きずりながら、あたしは地面にクレーターを作りそうな溜め息を落とすのだった。
 


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