主夫天使!

 強制的にうつぶせにさせられていた超美人は、頭を振り振り身体を起こす。
 ぽけっとした顔であたしを見上げ、重いまぶたを何度か瞬かせた。

 頬に張り付いた黒髪を払おうともせず、黒目勝ちな目で物言いたげな視線を向ける姿は、ぶっちゃけあたしでもドキッとさせられる。


 い、いかんいかん。あたしは断固ノーマルなんだ。あたしを変な道に誘い込むな!


 八つ当たりめいたことを思いつつ、あたしはコホンと咳払いをひとつ。


「アンタね、この雨ン中居眠りはないでしょ? しかもゴミ置き場で。
誰かにテイクアウトされても文句はいえないわよ、あれじゃ」

「居眠り……ああ、そういえば、最近あんまり眠ってなかったから」

「そういえば、じゃないでしょーがっ! わざわざ安全な場所まで運んできてもらって、何か言うことは!?」

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