【単連】MEETs JUNCTION(BL含)
最寄り駅にて
「自分でも、言わなきゃと思っているんだ…」
彼が初めて話掛けられた時から、少し青い顔をしていた。
清潔感のあるシャツとピタリとサイズの合った背広は雨に濡れている。
仕事が出来そうな、真面目な男に見えるが、少し頼りない。
「彼女はプロポーズを待ってくれてるのに、俺は……」
男が言わなければならない事は、プロポーズの言葉ではない。
「あまり見せないようにしてるけど、不安に思っているんだ……」
「……そうでしょうね」
男はズ、と鼻を啜った。
最寄の駅の入口。
朝の天気予報は大きく外れ、夕方から雨が降り出した。
二人は勿論傘を用意してきてはおらず、駅のその場に立っていた。
男は駅の境界から足を踏み出す事もなく、空を仰いだり、足元を見たり、ソワソワと落ち着かないようだった。
男が青い顔をしていたので、彼はどうかしたのかとさりげなく見ていると、男がポツリと語りかけてきたのだ。
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