【単連】MEETs JUNCTION(BL含)
結婚をと決めた彼女に秘密があり、プロポーズ出来ずにいるというのだ。
いつまでもプロポーズしてくれない男に、彼女が不安を抱いている事はわかる。
だから今日こそ言わなければと朝決意はしたけれど、しかしその決意は時間が経つにつれ揺らぎ、家に帰る足を重くさせる。
おまけに雨まで降り出して、駅から出る事すら戸惑ってしまっていたのだ。
「このままじゃ愛想つかされる」
男はとうとう顔を袖で拭った。
彼はフイに腕時計を見た。
「あ、ごめん。帰るんだよね」
「いえ、」
彼はそう言うと、僅かに濡れた前髪を掻き上げる。
吊り上がった眉と切れ長な目。
顎はスラリと細く、一見キツそうな印象を受けるが、その表情はよく見ると情緒深かった。
「……恋人が、迎えに来る事になっているんで、」
「そうか、」
男がホッと息を付く。
頼りないその顔は、普段からとても優しいのだろう。