サクラのハナビラ
「ただいまー。」




ほっとしたのもつかの間、玄関から声がした。




「あっ、弟だよ。おかえりーちょっとこいよ。」



弟さん…?




ヨウちゃんが玄関にむかって叫ぶ…とリビングのドアが開いた。




一気にあの日の光景が蘇る。




春の匂い…。舞い落ちる桜の花びら…。




もう二度と会うことはないと思っていた彼がそこに居た。
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