サクラのハナビラ
「なんで‥っ。」




あたしの目から涙がこぼれ落ちる。




「ただいま‥サクラ。」




あたしの名前を呼ぶ桜太君の声。




「洋介から結婚の報告があってさ。そんときに言われたんだ‥お前このままでいいの?って‥。」



ヨウちゃんが‥?




「俺‥色々語るの苦手だから。これしか言えない」







「サクラ、愛してる。」






次々にこぼれ落ちる桜のハナビラがあたしの頬でとまった。





「桜‥散っちゃったな‥。」




桜太くんはそう言ってあたしの頬についたハナビラを取った。





変わらない手の温もり。






もう‥散ってもいんだよ。





あたしを呼ぶ綺麗な桜が目の前にいるから。






「桜太くん‥大好き‥っ」






あたし達はいつまでも抱きしめあった。






離さない‥離さないでね。





こんな気持ちにさせてくれてありがとう。






これから何年たっても






あたしあなたにやっぱり恋をする。







笑ってもいいよ。







〜完〜
< 58 / 59 >

この作品をシェア

pagetop