カノン




「姫ちゃん!!


…よかったぁ~、戻って来てくれて!」




祐貴さんと連れ立って戻ると、

お店の前で、マナちゃんが待っていてくれた。




そしてマナちゃんの隣には…

…なぜか、景さんが居た。






「…………」




…マナちゃんだけ だったら、

″マナちゃん、ごめんね″で済むんだけど…。


この場合、景さんにも謝まるべき…なのかな?






―景さんが心配していてくれてるのか、

すっごく微妙なんですけど…―




…目が合った時の景さんの表情は何だか不機嫌そうで…、

″話し掛けるなオーラ″が、出ていた。








「…じゃ姫ちゃん、中 戻ろ?


ほら、ヒカリくんもー!」




マナちゃんが景さんの腕を引っ張って、言った。


しばらく見ない間に、

2人は随分、親しげに なっていた。






―…そう言えば、

マナちゃんと景さんは、同い歳だ…―




人懐っこくてヴィジュアル系を知らないマナちゃん だったら、

それも自然な事かもしれない。


でも…

今回のマナちゃんは、今まで見てきたマナちゃんと、何かが違っていた。




すり寄るように景さんに腕を絡めて、

すごく嬉しそうな笑顔で彼に話し掛けながら、店内へと消えて行く。






―マナちゃん…まさか…

″あの″景さんに恋を…?―




…瞬間、景さんが こちらに視線を向けた気がした けれど、

反射的に、逸らした。




マナちゃんに向けられる それと違って、

その視線が、痛い位に、冷たかったから。






「………」




………怖い。




景さん……






―怒ってた……?―





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