カノン
「…リア~
アンタもしかして…、
また逃げ回ってんの?」
「………」
″また逃げ回ってる″…
その言葉に、心臓が跳ねる。
思わず目を逸らしてしまった あたしに、
親友は更に溜め息を吐いて、続けた。
「……アンタ、
今と同じ苦笑いを、今年 入ってから、男に何回したよ?」
「………」
「アンタは分かってないかも だけど…
それが、アンタが人を傷付けてる回数、だから。
アタシとか…、女友達だったら まだ良いけどさ…。
……いい加減、
男から逃げ回るの、やめなよ」
「………」
………彼女には…、
何もかも、見透かされてる みたいだ。
もし ここで反論したと しても、全く歯が立たないような気がして、
あたしは素直に観念した。