カノン




「もしもし、リアちゃん!?」




″いつか会えませんか?″と電話を掛けた時、

忙しい筈なのに、すぐ電話に出てくれて、

酷く驚いたような声で、景さんは言った。






「どーしたの、何か あった!?」




「…あ、いえ…」




恐らく仕事中だと思うのだけれど…


景さんの その慌てふためいた様子で、

緊急の用でも ないのに電話を掛けてしまった事を、今更ながら激しく後悔した。




でも、掛けてしまったものは仕方ない…

そう自分に言い聞かせ、覚悟を決めると、本題を切り出した。






「景さんに お話したい事が あって……、


どうしても直接お会いしたいのですが」




「…………」






「お忙しいのは分かってるんですけど…、

少しだけで結構ですから、


会って、頂けませんでしょうか…?」




「…………」





< 110 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop