カノン




あたしが そう言うと、

案の定、景さんは驚いたような声を出した。




こういう反応が来るだろう事は、ある程度 予想していたから、

あたし自身は怯む事もなく、そのまま続けた。






「さっき、東京に着きました。


…で、真っ先に景さんに電話したんです。




ホテル取ってあるので、会うのは今日じゃなくても構いません。


明日が無理でも、

景さんの都合の良い日まで延長して泊まるので、大丈夫です」




一気に そこまで言うと、

景さんは今度は予想に反した、冷静な声で言った。






「…つか それ、全然 大丈夫じゃねーじゃん。


リアちゃん、仕事は?」




「……1週間 有給 貰いました」






「…はぁ?


って、この為に……?」




「…はい」






「………ったく


何、やってんだよ」




あたしの返事を聞いて、

景さんが、盛大な溜め息を吐いた。




心の中に、また一気に不安が立ち込める。




…景さんが…、

怒っている みたいだったから。





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