カノン




「え…ちょっと 笑


それくらいで泣かないでよ 笑」






一生懸命 和ませよう と してくれる景さんの声は低くて円くて、いつ聞いても落ち着く声で…


やっぱり、あたしの居場所は″此処″なんだ って、

思っては いけない事を、思ってしまいそうに なる。






―あたしは まだ、傷付く事が怖かった……。




ここまで来て、何 言ってるんだ って

自分でも思うけれど。




それ位、

景さんに優しい言葉を掛けて貰って…それが″嘘だった″って、

″あたしの事 何とも思ってないけど、ただ優しかった″って……


知って、傷付くのが怖い。






………どうしよう。


あたし…、

覚悟 決めて来た筈なのに。


本心を伝えよう って、思ってたのに…。




…傷付きたくない。





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