カノン
―…
「………ちゃん!
………リアちゃん!」
「サナ…ギさん……?」
目を開けると、
近くに居たのは、SIVAのマネージャーの1人、サナギさん…だった。
「…よかったぁ~。
景から″寝てるだけ″とは聞いてたけど、
声 掛けても全然 無反応なんですもん。
このまま ずっと目 覚まさなかったら どうしよう って、
本気で心配しましたよ!」
気が付いた あたしを見て、
サナギさんは ほっ と 胸を撫で下ろすように、そう言った。
「寝てた……?
あたし、景さんと一緒に……
…って そうだ、
景さんは……??
何処に居るんですか??」
サナギさんに詰め寄りそうな勢いで訊いたのに、
彼女は驚くどころか、なぜか楽しそうに笑って、言った。
「……景は、先に帰りましたよ。
リアちゃんが すっごく気持ち良さそうに寝てるから、起こすの忍びないし、
″男の俺が送ってくのも問題あるから、後は頼む″って、景から私の所に電話 掛かって来て…。
私は景にリアちゃんを託されて…、迎えに来たんです」
「そ、そうだったんですか…。
………。
…あ、
あたし……、
景さんに言いたい事、全部ちゃんと話したんでしょうか…」
思い出そうと したのだけれど…、
その辺の記憶が、全く無い。
不安になって思わず そう呟くと、
何の事か全然 分からない筈なのに、サナギさんは あたしに合わせるかの ように、返事を してくれた。