カノン
「″頼むから、無事 送り届けてくれ″と、
しっかり念を押されましたよ 笑
でも…、
私には、
リアちゃんが何か迷っていて、降りるのを躊躇ってるように見えたのですが…」
「………」
あたしが黙っていると、
サナギさんは暫くして小さく、…笑った。
「………。
…景は…、
自分の事は ある程度しか他人に話さないので、
勿論 私にも肝心な事は何も言ってくれませんが…」
「…?」
「長い間 景を見てると…、
何となく分かるんです、…景の、考えてる事。
本人は隠してるつもり かもしれないんですけど(笑)、
私から言わせると、隠し切れてない って言うか」
「……」
「勿論 他の人から見たら、
何 考えてるか分からない…ミステリアスな人だと、思うんですよ。
でもね、それは何て言うか…
見た目の印象だったり、″SIVAの景″っていう世間のイメージが強いから そう見えるんで あって、
″本当の景″は……すごく真っ直ぐで、分かり易い人なんです。
私は初めて会った時から、
″SIVAの景″では なくて、素の景を見てたので…」
「……」
「本人が どんなに隠そうと思っても、
景の考えてる事は…、何となく分かります。
だから…
景に似ているリアちゃんの事も、何となく分かるんですよ」
「……」
そう言うとサナギさんは、今度は すごく優しい顔で、笑った。