カノン
サナギさんは そんな あたしの心を知ってか知らずか、
にこにこ と、穏やかな笑みを浮かべて、言った。
「何か…、
私ばっか喋っちゃって、すみませんでした」
そして ちらっ と窓の外を見て、何かを確認すると、
「こんな事 喋ってる間に、到着したみたい…ですよ。
…リアちゃんの、白馬の王子様」
と、あたしの後ろを指し示した。
「…!?」
サナギさんの指の動きに釣られて後ろを振り向くと…、
窓の外には、景さんが…立って居た。
「…″今から行くから、着くまで お前は時間 稼いでろ″って」
吃驚して、景さんを見つめて動けずにいたら、
後ろからサナギさんの声が聞こえて、あたしは またサナギさんの方を振り返った。
「短い言葉で済む所を、引き延ばして引き延ばして…
大変でしたよ 笑
だから最後、
リアちゃんが何か考え事してる みたいに見えた時は、
思わず″助かった″って、思っちゃった位です 笑
…あ、でも
それまで話してた事は、全部、嘘じゃなくて、本当の話ですよ?
″リアちゃんと景は似ている″って、話。
2人は会うべくして、会ったんだ と…、思います。
だから、
リアちゃんにとって景は、白馬の王子様なんです 笑」
「サナギさん…?」
…と そこで、サナギさんが なぜか笑いを堪えるように言うから、
どうしてだろう?って思って訊いてみたら、
サナギさんは堪え切れなくなったのか、声を出して笑った。