カノン
「ねぇヒカリっ…
行かないでよ!!」
「…っ…離せよ」
「…例の、女でしょ?
さっきまで、会ってた…。
…全部、分かってるんだから」
適当な言葉を並べ立てて、揺さぶりを かけて来る。
こいつが君の事を知ってる筈は無いって思うのに、
思わず、足が止まった。
「……」
「…やっぱり。
アタシの友達が、そいつの事 知ってるんだけど、
そいつ…
バンドマンと結婚 出来る って本気で思って追っ掛けてる、かなりイタい奴だよ。
…しかも追っ掛けてるの、
ヒカリのバンドじゃないバンドでさぁ」
俺が黙り込んだ事で、途端に得意気に話し出す。