カノン




「…安らか!?笑


何か…

"安らかに永眠"って言葉が あるから かも、だけど…」




「あはは!


確かに、何か死んじゃいそう ですよね 笑」




君が すごく楽しそうに笑って、

その笑顔に釣られて、自分の顔も緩むのを、感じる。




君と こんな時間を ずっと共有できたら、

俺にも少しは生きる意味が あったのかな なんて、ぼんやり考えた。






君の記憶の中に、俺は…居ない。


でも今 確かに君が目の前に居て、

同じ時間を共有してくれて…いる。


君の記憶に残って いなくても、

それだけで今までの全てが報われるような気が、した。






「…あ」




何度目かに震えた携帯を、慌てて押さえる。


相手は ずっと同じ…楓から。


何度も画面を見ては、その度に無視し続けていた俺に気付いていた君は、

優しい笑みを浮かべて、言った。






「ヒカリさん…、

さっきから、気 遣って下さって お出に ならない みたいです けど…

あたしなら、大丈夫ですよ。


どうぞ、ゆっくり お話して来てください」




あいつからの電話なんて、出なくても全然 良かったんだ けど…、

君が笑顔で そんな風に言うから、強く拒絶する訳にも いかず、

俺は"ごめんね"と、素直に席を立った。






「…すぐ、戻って来るから」




そう言うと君は また、にこにこ と 可愛らしく頷いた。





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