カノン
「…いけね、
そろそろサナ呼ばないと…」
君の側には いつまで居ても、キリが ない…。
だけど もう、行かないと。
楓に自分の気持ちまで あげる気は さらさら無いけど、
もしも本当に全部バラされたら厄介だ。
俺は君が気付かない位の小さな声で呟いて、
また個室を出て、サナに電話を掛けた。
サナは
忙しい筈なのに"今すぐ行きます"と、快い返事を くれた。
サナが到着するまで、
俺は まだ君の側で、ずっと君を、眺めてた。
出来るだけ長く、君の近くで、君の呼吸を…感じて居たくて。
君の記憶を、刻み付けたくて……。
「ヒカリさんっ、
お待たせしましたー……
って、ごめんなさい!
ちょっと声 大きかった ですかね…?」
「いや、大丈夫。
…まだ寝てる 笑」
君は目を覚まさなかった けど、
念の為、サナを個室の外へと連れ出すと、
彼女は廊下に出た途端に、ほっ と 安堵の息を吐いた。