カノン
……君が、"あの人"を好きだったのは…事実だから。
目が覚めて暫く経っても、"夢だったんだ"という安心感は全く無くて…
俺は ぼんやり と、部屋の中を見つめていた。
…夢の中の君の言動は妙に、リアルだった。
―もしかして、"実際の出来事"を夢に見てるんじゃないか…?
…そんな事まで、頭を過る。
あの時のサナの力強い台詞を、一生懸命 思い出そうと するけど、
でも 君は一途で…1度 好きに なった人を とことん好きで居るから、
よっぽどの事が無い限り、サナの言うような事態には ならない気が してきて、
あっと言う間に、それは黒い気持ちに呑み込まれた。