カノン
その日は君の幻想を掻き消すように…
楓に全てを ぶつけて…
気付いたら、疲れ果てて眠っていた。
「……」
目が覚めても何だか もう 眠る気に なれなくて、
俺は眠くなるまで仕事でも しよう と、楓が眠るベッドを抜け出すと、パソコンの電源を入れた。
何時頃まで仕事してたのか よく分かんないけど、
気付いたら そのまま寝てて、俺を起こしたのは意外 過ぎる…君からの電話だった。
「もしもし、リアちゃん!?
どーしたの、何か あった!?」
『…あ、いえ…』
君は何だか困ったような口調だったけど、
とりあえず"何か あった"って事を否定して くれたから、少し落ち着いた。
「…そっか」
安堵の溜め息を吐くと、
続けて君が"俺に会いたい"って、言ってくれた。
君を諦めた後に、君から電話が掛かって来るなんて…
運命の悪戯のような その偶然に、思わず戸惑う。
今の この状態で君に会ったら…
君を傷付けるから、会いたくない。
でも、
君の声を聞いたら……、やっぱり会いたい。
まだ全然 諦められてない事に、気付く。
俺の心は、不覚にも…また ぐらぐら と、揺れた。