カノン
「……これをバンギャに送ったら、
ヒカリ…困るんじゃない?」
勝ち誇ったように薄笑いを浮かべて、楓が言う。
「熱心なバンギャちゃんは、もしかしたら この写真だけで、
マンション突き止められるかも、…ね?
それに…
情報が広まるのも早いから…」
「……」
「明日には、
アタシがヒカリの "オキニ"だ って、有名に なってるかも♪」
そう言って、携帯を目の前で ひらひら と 振る。
…だけど もう、こいつの感覚には ついて行けない。
俺や…メンバーにとってファンの子と いうのは、
何物にも代えられない、大切な存在で。
それを自分が優越感に浸りたいが為にファン心理を利用する だとか、
無意味にファンを傷付けるような事を平気で して、
尚且つ それを俺への脅迫材料にする という神経は、全く理解できない。
俺だったら…
自分の好きな人が大切に してる人だったら、
自分に とっても大切な人だと、思うんだけどな…。
だから、仮にも俺の事が好きだと言うなら、
俺が大事に してるファンの子の存在も、大事にしてくれて然るべき だと思うんだけど、
楓に、そんな感覚は無いらしい。