カノン




「えーと、これが頼まれてた資料で…


あとヒカリさん、今日は もう事務所に戻らないと思ったので、事務所に届いてたファンレターと…

…グッズのサンプルも持って来ました。


それから これは、社長からの預かり物です」




部屋に入って すぐ、ドサ ドサ ドサっ と 机の上に資料やら何やらを置くと、

サナは さっ と、立ち上がった。






「…とりあえず、コーヒー淹れますね」




「…あ。


ごめん、気 利かなくて…」




慌てて自分も立ち上がろう と したら、

サナは それを制止すると、なぜか小さな溜め息を吐いた。






「…そうじゃ なくて。




ヒカリさんの事だから、

どうせ今日も、殆ど寝てない…ですよね?


忙しいのは分かりますけど、

体が資本なんですから…少し休んでください。


今日はコーヒーに合う お菓子も持って来ましたから、ね。


今から私と一緒に お茶しますよ!




私が帰ると、ヒカリさん絶対すぐ仕事 始めちゃうんだから…

あえて もう暫く、お邪魔させて貰います!」




「………」






「本当は"彼女"が居てくれたら いいんですけど…ね(笑)、

ヒカリさん、普段 強気なのに、本当に好きな人には全く弱気だから……(ぶつぶつ)」




「ん?


何か…、

聞き捨てならないような言葉が聴こえた気が するけど…」






「え…気の所為じゃないですか?




…まぁ とにかく!


これから私と お茶しますけど、

眠くなったら、その場で遠慮なく寝てください!


私が居る間は、一切 仕事させませんからね!笑」




そう言うと、サナはキッチンで"お茶"の用意を始めた。


俺が いつ寝ても良いように、

あまり物音を立てないように して…。





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