カノン
「…おねーさん」
「!」
…ふらふら歩いていたら、
今度は すごく、無感情な声が、聴こえた。
と、同時に腕も掴まれた。
声からして男の人だから…、
このまま力ずくで逃げ切るのは、無理かもしれない…。
恐怖と、
ほとんど諦めの境地で、振り返った。
「………。
…ひか…り、さん…?」
腕を掴んでいる意外な人物に、思わず声が漏れる。
「…こんな簡単に捕まってちゃ、駄目でしょ…笑」
目が合うと、
景さんは困ったように、笑った。