カノン
「いや…何か面白い って思ってさ。
俺の周りに居る人も、環境も、
あの頃に比べて、随分 変わった。
ずっと変わらずに残ってる物なんて、殆ど無いよ。
ずーっと飽きずに俺の側に居て、俺の心配して…
そんな奴って もう、サナくらい じゃん?笑
………つか お前、
いつまで居んだよ 笑
あ…いや、
勿論 居てくれるのは嬉しいんだけど。
…何が良くて ずっと居るのか、
もう謎なレベルだからさ 笑
相当 変わってる としか言いようが無い って言うか 笑」
昔を思い出しながら、そう からかうように言った俺に、
サナは、
「"変わってる"って…、
それ、否定 出来ないかも、ですね 笑」
と言って、笑った。
「でも…
私がヒカリさんの側に ずっと居るのは、
"変わってるから"、じゃない ですよ 笑」
「…?」
それから少し してから、
考えるように ゆっくり口を開いて…
そう言うと、また笑う。
その"理由"が分からなくて首を傾げる俺に、
例の、困ったような笑みを浮かべて続けた。
「でも その意味は、
ヒカリさんは知らなくて いいと思うんです。
もしヒカリさんが知っちゃったら、私が居づらく なるので…(笑)、
寧ろ気付かないままで居てくれた方が有り難いです」
「……」
―……"気付いたら居づらく なる"って、どういう事だろう…?―
俺には その意味も よく分からなかった けど、
サナが居なくなったら困るって事だけはハッキリ分かっていたから、
この話は これ以上 深く追求しない事に した。
サナから見たら、
俺も昔から変わってない、のかな……。