カノン
『……ね、
何で…?』
『…え?』
『何で、急に そんな事を…?』
『"何で"って……』
『……あたしの事が、好き だから?』
『え……?』
…君の言葉に驚いて顔を上げると、
パソコンの黒い画面と、そこに ぼんやり映る自分の顔が目に飛び込んだ。
どうやら、作業の合間に机に突っ伏して寝てしまった らしい。
―やべ…、ちょっと動こう……―
このまま作業を続けるよりも、気分転換に少しでも外に出て歩いた方が良いような気がして、
俺は そのままパソコンを抱えると、スタジオを出た。