カノン
「………ふぁ…」
目が覚めたのは、11時を少し回った頃。
久し振りに、
夢も見ずに よく寝れた。
ぼーっ とした頭で、とりあえず携帯をチェックすると…
大量の着信が あった。
―こういう時、携帯の電源 切りたくなるわぁ……―
実際、仕事の電話が大半だから
切って寝る なんて、現実逃避は許されないんだ けど。
つか、電源 入れてても 今日みたいに爆睡してれば
どっちみち出ないんだけどさ…(笑)。
自分自身にツッコミを入れて 暫く着歴画面を見つめていると、
それが突然 切り替わり、着信音が鳴り響いた。
「…………もしもし」
「あ、ヒカリぃ~?
昨日 行けなかった お店、今から行こーー♡」
めちゃくちゃ渋って電話に出たけど、
相手は そんな事 お構いなしに、自分の用件を意気揚々と話して来た。
「……は?」
何か答えるのも面倒 臭かったけど、
かろうじて一言 発すると、楓は更に話を続けた。