カノン
「つか、あと1時間も ねーじゃん…」
自分の用件だけ伝えて あっけなく切れた携帯を睨んで 暫く ぼーっ と してたけど、
気付いたら、何となく出掛ける準備を してしまっている自分が居る。
…こういうとこが、"甘い"って言われるんだろうな…。
でも、行かないでいて 電話攻撃に耐えるのも、相当キツい。
どっちも やだけど、
さっさと付き合って さっさと帰って来ちゃった方が、まだ良い気がした。
こんなこと繰り返してるから、ストーカー被害から抜け出せないんだ って事にも、
気付いては いるんだけど…。
結局、
自分の甘さに気付きながらも、変えられずに いた。
自分を変えなかったから…
だから 周りの環境が劇的に変わる事も無く、楓のストーカー紛いの行為は それからも ずっと続いた。