カノン
「………ヒカリさんっ!!」
とりあえず一旦ステージから はけた時、
袖に居たサナが、今にも泣きそうな顔で駆け寄って来た。
て言うか、
近くに来たサナを見ると、既に泣いてた。
「………うぅ……っ…っく
……ふぇ……」
サナだって何て声を掛けて良いのか、分からないんだろうな……。
他のスタッフも……。
「とにかく急患で病院に行こう」
皆が戸惑っている中、チーフ マネージャーが冷静に そう言って俺を連れて行こう とした時も、
サナは どうしたら いいのか分からない と 言うように、泣きじゃくっていた。
そんなサナを安心させたくて、行き際に ぽんぽん と 頭を撫でると、
瞬間サナは目を見開いて…
次に何かを決心したように、まだ涙が流れる顔を ごしごし擦って、チーフ マネージャーにハッキリした口調で声を掛けた。
「私が……付き添います」
「佐々倉が…?
…まぁ、皆それぞれ やらなきゃ いけない事あるし…
景くんの専任みたいな佐々倉が一緒に居てくれた方が いいか…。
……分かった。
じゃあ、景くんの事は頼んだよ」
色々 考えながらもチーフ マネージャーが そう結論を出すと、
サナは大きく頷いて、涙を振り払うように笑顔を見せた。
「…分かりました!
ヒカリさんの事は…私に お任せください」