カノン
「今日も来てるよ、あの子」
スタジオに顔を出したリーダーに そう告げると、彼は"もう うんざり"と言うような顔をして、言った。
「…マジで?
居ないって言ってくれた?」
「まだ見てない って言った」
「それって…、"これから来る"って思われない?」
「……かもね」
「そんなぁ~!
嘘でも良いから、『来ない』って言っといてよ 笑」
「……俺、嘘 吐けない……笑」
正直に言ったら、リーダーは顔に笑みを浮かべながらも、強めの口調で言った。
「そこは臨機応変に!
人助けだと思って!」
「んー……、分かった」
"人助け"って言葉に思わず頷いてしまった けど…、
ごめん、リーダー。
何となく、彼女に そこまで冷たくなり切れない自分が、居た。
確かに、
リーダーの事は普通に好きだし、彼女のストーカーぶりは やり過ぎだ、と思う。
だけど…
"報われない恋"ってのが悲し過ぎて…。
決して彼女の味方を しよう と 思ってる訳じゃない けど、
嘘を吐いてまでリーダーを庇おう という気にも、どうしても なれない。