カノン
「ヒカリぃ~。
明日、ヴォーカル レコだよね?
ごめん、
他が終わりそう も ないから、1日 延びるかも~。
…いい?」
事務所で突然リーダーに
申し訳なさそうに声を掛けられて、俺は立ち止まった。
…ヴォーカルの録りは いつも最後。
楽器隊の進み具合に よって、
予定は予定にして しばしば変更される。
でも それだけ、
みんな納得する音が録れるまで妥協しない という事だから、
それは それで全然いいんだけど。
「ん、大丈夫だよー。
みんな頑張ってんだね!笑」
「…まぁね。
じゃあ…悪いね~。
出来るだけ早く録り終わるように頑張るから!
よろしく」
そう言うと、リーダーは そそくさ と また元の作業に戻って行った。
そんなリーダーの後ろ姿を見送って…
ある事に気付く。
―……明日の予定。
急に、空いてしまった。
「何か、予定 入れないと落ち着かないかも…」
俺は頭を掻きながら、ひとり呟いた。