カノン




「″何で″と言われましても…」




…訊きたいのは、あたしの方、だ。




咲くんが白い携帯を持っているのは、

ブログの写メで、知っていた。


白くてキラキラしてて、

咲くんのイメージに ぴったりだ って、思った。




でも当然 景さんの携帯を見る機会なんて、

今までに1度も なかった。






―何で…だろう?―






「…あー、ごめん。


iPhone買ったって いうの、

FCブログにしか載せてなかったからさ…。


一見ファンクラブ入ってる風には見えなかったから、

吃驚しただけ」




景さんは、慌てて言い繕うように、言った。




…そう言えば前に何かでSIVAさんの公式HPを見た時、

ブログはファンクラブ会員しか読めないように なっていたっけ…。






「………」




―……あれ?でも……―






「…何?


どーしたの?」




「いえ、あのー……


何で、

あたしがSIVAさんのファンクラブに入ってる風には見えない って、

思ったのかなぁ って、思って…」




疑問に思った事を そのまま言ったら、

景さんは笑い声を漏らしながら言った。






「…それ、訊く~!?笑」




その笑顔を見て、あたしは何とも言えない気持ちに、なった。






―…こんな顔もする人なんだ…―




さっきから ずっと、概念を覆されてばかり、だ。


世間や あたしのイメージと、悉く違う。




こりゃあ、

ファンの子から″ひーたん″って呼ばれるのも、無理ないかも。





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