ｶﾉﾝ

―1月20日。




もし空いてる時間が あったら、前々から行きたかったﾍﾟｯﾄ ｼｮｯﾌﾟに行こうと思ってたけど、

何だかんだ他の仕事を していたら、夕方に なっていた。




…まぁ、本気でﾍﾟｯﾄを飼うんだったら

ちょっとした空き時間で全部 済まそう と するのは、無理が あるよね。


見たら、絶対 連れて帰りたくなりそうだし

ﾍﾟｯﾄ ｼｮｯﾌﾟに行くのは、もうちょっと暇に なってからに しよう…。




ﾍﾟｯﾄ ｼｮｯﾌﾟの日を改める事を決意して、

俺は簡単に着替えを済ませて、夕方の渋谷に向かった。




当然 後輩のﾗｲﾌﾞを観に行くだけ だから、ﾉｰﾒｲｸ。


でも、気付かれない自信は あった。


自分で言うのも何だけど…

ﾒｲｸしてないとｵｰﾗ ｾﾞﾛだから(笑)。




…なんて ﾀｶを括ってたんだけど、

会場に入ろう と したら 何人かのｸﾗｳﾄﾞ ﾌｧﾝの子に話し掛けられて、吃驚した。




『今日は お休み なんですかー?』とか『SIVA大好き なんですー♡♡』とか…

終いには握手とかｻｲﾝまで求められて、俺の周りが ちょっとした騒ぎに なりかけたから、

慌てて作り笑顔を貼り付けつつ適当に かわして、そのまま何回かﾗｲﾌﾞしていて覚えのある楽屋の方に逃げ込む。






「ちょっとﾒﾝﾊﾞｰに挨拶に…」




通り掛かった会場ｽﾀｯﾌらしき人に そう話し掛けたら、その人は全て理解してくれた みたいで、

すんなりと楽屋に通してくれた。