カノン
信じられない光景が目に入って来て、思わず瞬き、2度見する。
リア……?
でも何度 見ても、どう見ても、君に見える。
友達と一緒に来ているのか、
その子に何事か話すと、君は客席を離れて行った。
ここまで来て、帰るって事は、さすがに無いよな…。
じゃあ、もしかして…トイレとか…?
客席から出て行く君を目で追いながら そんな事を考えて…、
気が付いたら、体が勝手に動いていた。
…君に、電話を掛けてた。
君の従姉妹…マナミちゃんに聞いた、番号。
嘘を教えられる事は無いと思ってるけど…、
どんなに待っても呼び出し音は切れなくて、もしかして違う番号なのかな って、ちょっと不安に なった。
でも ここで何とか しなかったら、もう2度とチャンスは来ないと思って、
一生懸命 思考を巡らせる。