カノン




―…






『………リア…?』




『………』






俺の速度に付いて来れてるか心配で、君の名前を呼んだ。




返事が聴こえないから振り向くと、

君の戸惑った大きな瞳と、目が合った。




でも口元は案の定、今にも泣き出しそうなのを堪えるように唇を噛み締めてて…、

俺は歩くのも やっとの様子の君の手を、少し強めに引っ張った。






…何で、いつも1人で我慢しようと するんだよ…。






『馬鹿 りぃ』




『……?』






『……1人で泣くな』




『……』






『1人で全部 抱え込もうと すんじゃねーよ…、馬鹿』





< 247 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop