カノン
―…
『……リア!!』
俺が駆け付けた時には、君の髪の毛は もう ぐちゃぐちゃ で。
顔にも擦り傷なのか切り傷なのか…所々 血が、滲んでた。
『…リア……!』
君が痛がる なんて事は考えずに、
ただ きつく きつく、抱き締めた。
『……遅れて、ごめん』
腕の中の君は小さく震えてて、
俺が来るまで ずっと1人で耐えてたんだ と 思ったら、胸が締め付けられそうに なった。
『…痛かったな』
君を解放して、顔の傷に そっ と 手を触れながら そう言うと、
君は慌てて ぶんぶん と 首を振って、俺から顔を背けるように目を逸らした。
『XXくん、何で……』
何でも良いから君の声が聞きたかったのに…
暫くして声を出したのは 君じゃなくて、
苛めていた奴等の中の1人だった。
俺が来た事が不思議だったらしく、震えた声で そう呟く。
『何でって…、
こいつを助けるのに理由いる?』
ゆっくり、君を背中に隠すように
声の主の方を振り返った。
それに対して声の主は一瞬 怯んだみたい だったけど、
その後に すぐに勢いを取り戻して言った。
『だ、だって…
この子は みんなの事 傷付けて、XXくんの事だって……!』
…傷付けたから、
何で そんな奴を助けようと するのか って、言いたいのか。
阿呆らしい、と
俺は溜め息を吐いた。